創価なう

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コモンセンスと死の話

  1. 当時の状況

コモンセンスが出版されたのは1776年であり、これはピューリタンが渡米してから約150年のことである。アメリカ国民であると同時にイギリス国民であるピューリタンには4つの国を統一する英国王への忠誠心が根強かった。1773年にボストン茶会事件がおこり、イギリスへの反発は明らかなものになり、1775年にアメリカ独立戦争は始まった。しかし、1776年になっても独立派が必ずしも優勢となれなかったのはこのイギリス国王への忠誠心が原因の1つである。対外的には、七年戦争が起こりフランスとイギリスの対立、イギリスの孤立があらわになった時代であった。

  1. 趣旨 主張

ペインの主張は、今(1776年当時)、アメリカが英国に対してなすべきことは独立宣言をおいてほかない、ということに尽きる。その論を支持する事実として、大きく3つある。1つは、独立しない限り、つまり英国の臣下である限り、他国に仲裁を頼むことができず永久に英国との争いが続きうること。2つ目に、英国に忠誠を誓いながら戦争を続けることは、国際社会で反逆者と言われかねないこと。3つ目に、英国から独立し、その上で諸外国と通商条約を結ぶことを宣言すれば、これまで以上の利益を得られることがある。本文全体の進め方としては、はじめに英国王政の批判がされる。憲法が、国王により独占されていること、上院の権力が下院にまでおよんでいること、世襲制の悪などについて述べられている。次に、アメリカの現状が述べられる。戦争の経験、人口の点から見てイギリスと戦うのは今であること、そもそもアメリカは豊富な資源と長い海岸線を持ち合わせた世界でまれな貿易大国たる条件を持つ国であることなどである。

 

  1. ペインから学んだこと

独立戦争への動きが強まる中で、なお独立反対派が3分の1を占めるという状況が起きたのは、やはり英国王への強い忠誠心が原因であると思う。それもまた反対していたのは上級階層である。現状を疑うこと、そしてそれを覆すための論理を組み立てること、反対する人々をも納得させる根拠と表現、なにより情熱を持ち合わせたこと、一種の革命を起こすにはこれらが必要だと感じた。大きく感じたのは、英国王という当時のアメリカ人にとっての絶対的な権威を否定したことが歴史的事実であり、この勇気を支えた陰には学問、思索を重ねた過去があるのだろう。